「沢竜二特別公演」
2013年3月3日 ホテル海山

2013年のホテル海山での竜劇隊公演の千秋楽は「沢竜二特別公演」と銘打って行われました。
第1部のお芝居は2月16日(以下、初日)と同じ演目「幡随院長兵衛」
沢竜二さん演じる町奴の頭領(やくざの親分みたいな感じの)幡随院長兵衛と
木内竜喜さん演じる旗本奴(無頼旗本)の頭目水野十郎左衛門、二人の男の対決を描く
時代劇なんかでもおなじみの演目でもあります。
話は知ってる人なら知ってるかと思いますが、簡単にまとめると
男伊達で売っている長兵衛が目障りな水野は、理由を付けて長兵衛を騙し討ちしようとすると言う内容で
最初は長兵衛と水野がやり合う場面が一幕目、続いて長兵衛が子分達に死地に赴く覚悟を語るのが二幕目
そして、有名な水野の屋敷の湯殿での長兵衛と水野の対決シーンが三幕目となります。

岡本さんは初日同様に長兵衛の女房お時を演じまして
長兵衛との一粒種(長松)を甲斐甲斐しく世話する姿が印象的な清楚で気丈な雰囲気の女性で
こう言う女性役を演じると、岡本さんの持ち味が強く発揮されるように思います。
ただ、今回の岡本さんは長兵衛が死に行く場面での登場だったので
長兵衛を気遣ったような表情をするシーンが多かったように感じました。

実は岡本さんはこの前日の2日に、東京で声優アワードの授賞式に出席し
翌日に当たるこの3日に、再び山形入りをして芝居に参加されている非常に慌ただしい状況だったのですが
そんな疲れを微塵も感じさせぬ、凛とした女性ぶりでファンとしては嬉しい限りでした。
ただ岡本さんご本人はとても大変だった事でしょうね。

芝居の流れとか大筋に関しては、初日の時と変わりは無かったと思いますが、
お時の衣装に関して、初日は青と白の着物に雪のような白い模様が入った感じの着物だったのが
今回は、縞柄の着物を着ていたので、もしかすると細かい所に違いはあったのかもしれません。

今回の「幡随院〜」は特に湯殿で水野に長兵衛が騙し討ちされる第三幕で
最初のシーンが凄く独特の雰囲気だったり、見せ方を工夫していたように感じました。
また、風呂の湯気に模した煙(それっぽい煙を出す装置で作り出したのだとか)の匂いも非常に印象に残りました。
一方で、今回のお芝居は竜劇隊の演目にしては、珍しくコミカルなシーンは少なかったように感じました。

第1部の後、(今回は)木内さんの挨拶と休憩を挟んで、2部のショー「夢の花道」となります。
オープニングは岡本さんを含む竜劇隊メインメンバー5人揃っての舞踊「祝い舟」
黒い着物の岡本さん達が二本の扇子を使って宝船を作ったり、優雅な舞踊を披露しておりました。

そして何人かの舞踊が続き、そろそろ岡本さんの出番かな?と思った頃に
「岡本茉利『蘇州夜曲』」とのアナウンスが入ると
紫の着物姿の岡本さんがマイクを手に登場!
岡本さんの十八番とも言える「蘇州夜曲」でしたが、
今回の岡本さんの歌声は、いつもにも増して透き通って綺麗な感じで
あまりに綺麗で優しげな歌声だったので、芝居の時の岡本さんの台詞じゃありませんが
改めて「惚れ直し」てしまいました。

その後しばらく舞踊が続いた後、次の岡本さんの出番はラスト前
今回の舞踊は「次男坊鴉」で、これも岡本さんの十八番の一つと言えると思います。
着流し姿の岡本さんはコミカルな表情も見せたり表情豊かに舞う一方、立居振舞は凛々しく感じられました。
ただ、今回は青っぽい着流し姿の岡本さんが扇子を使って、舞踊を披露すると言う
以前見た時と着物の感じや細かい点が違っていたのが理由だと思いますが、
私の覚えている「次男坊鴉」とはまた少し違った感じの「次男坊鴉」のように感じました。

ラストの演目は沢竜二さんの持ち歌「北関東は風の街」
岡本さんは出演されませんでしたが、沢さんの生歌にコミカルな合いの手が入ったり、
沢さんの国定忠治の迫力ある立ち回りがあったり、中々面白かったです。

公演終了後の送り出しでは、いつもはショーの時の格好のままの岡本さんと話す事が出来るのですが
今回は、片付け等で忙しそうだったので、
着替えた岡本さんに慌ただしく挨拶をして、私も帰宅の途に就きましたが、
丁寧な受け答えをして下さる岡本さんの優しさを改めて実感させられました。

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