「竜劇隊大井沢公演」
2013年2月23日 山形県西川町

本年が三度目の開催となった山形県西川町大井沢にある自然と匠の伝承館で行われた竜劇隊公演
当日も晴れたかと思えば、しんしんと雪が降り続いたりすると言う大井沢らしい天気で、
雪が多い土地なのは重々承知で来たものの、今年の雪の量は本当、驚かされるばかりでした。
私は前日から大井沢に宿泊し、当日は宿泊先から徒歩で会場に向かい、前の方の花道に当たる位置に座りました。
観客は庄内から岡本さん目当てで訪れた私と一部の方を除き、地元の方ばかりなのですが、
恒例行事になりつつある事もあってか、客席の盛り上がり方も年々要所を押さえた感じになってきて
私も楽しく観劇できました。

公演は例年同様、朝の9時30分開始で、
前座に大井沢地区の神楽の奉納に大井沢の方々のお芝居が行われ、
会場が盛り上がった所で、いよいよ竜劇隊の公演がスタート。
第1部のお芝居は『新・己が罪』と言う演目。
簡単に粗筋をまとめますと、武家三浦家の後継ぎ和義は奥方良恵の言いなりで
木内さん演じる和義の実の父(役名は設定上無い)を奉公人同然に虐げた挙句、役宅から追い出そうとする。
和義の弟・弥吉はそんな父を庇い、和義も父を家に戻そうとするが、妻女良恵の心変わりで
父は追い出され、父を庇った半次郎も兄和義から勘当されるが…と言うあらすじになります。

岡本さんが演じたのは、陣内家の大奥様・千代女(ちよ)なんですが
この演目、以前に湯野浜の竜劇隊公演で一度見た際(2011年2月27日分参照)には
千代女と言う役名は無かったので、
岡本さんに公演終了後、何か理由があるのか伺った所、
何かしら役名があった方が分かりやすいため、役名を付けた旨の事を話されていました。

千代は衣装も立居振舞いもかなり上品そうな武家の奥方と言った感じの女性で
弥吉達が和義に追い出された芝居の後半になって登場してきて
困っている弥吉達に「この件、わらわに任せてもらえぬか」と提案します。
こう言うタイプの役を岡本さんが演じるのを見るのは
(一度見た事があるとは言え)久しぶりなので、ちょっと驚かされました。

岡本さんが「任せてほしい」って言ってすぐに場面転換するのですが、
場面が変わると、千代は和義と良恵を懲らしめようと、娘・早苗の婿に弥吉を迎え、
弥吉(と父親)を和義らに披露すると言う芝居を打ちます。
千代の家である陣内家は三浦家の主筋に当たる為、和義と良恵は半次郎を当主と仰がなければならず
結局、和義と良恵は弥吉と父親に自分達の行いをそっくりそのままやり返されてしまい
その事から、和義も良恵も己の非を認め、改心する(ちょっと安直?)と言うラストに至るのでした。
以前見た時は、異様に盛り上がったお客様の為、何か独特の雰囲気の芝居だな…と感じていた演目なんですが
笑いが起きる所では素直に笑いが起きたりしていた為、
見終わった時には、前に見た時とは全く異なった感覚を感じたのが印象的でした。

岡本さんについてですが、この芝居では、全体的な台詞量はそんなに多くなく、
最後の場面で、じっと座って弥吉と和義達のやり取りを見ている後見的な印象が強かったです。
ただやり取りを見ている場面で、時折視線を動かす事はあっても、
基本的に目を一点に据えてじっとしているだけでも、かなりの存在感があったように思います。
上品そうな雰囲気はやはり岡本さんらしいですし、実際、役の重要度(岡本さんが話の鍵になっている)も高く、
劇中の揉め事を解決したり、話の抑え的な人物となっていたと言えるでしょう。
また、「わらわ」、「そなた」と使ったり、他の演目ではあまり見られない上品で高級そうな格好をしているので
堅い武家の奥方なんだろうな、と思っていた所 弥吉に対しては、柔らかく優しい口調で接したり、出番以上のインパクトはあったと思います。

極め付けがラスト、芝居で一緒になった弥吉と早苗が本当に結ばれる事になると
「これが本当の嘘から出たまこと」と扇を出して最後の最後で決めポーズを作るシーンがあったのには アレ?と思う一方、密かに「岡本さん、待ってました!」と思ったものです。

公演レポートへ戻る