「竜劇隊大井沢公演」
2011年2月26日 山形県西川町

雪深い山形県西川町の大井沢地区にある自然と匠の伝承館で行われた竜劇隊公演
当日は雪が降り続く生憎の天気で、大体は地元の方ばかりなのですが、
私も雪の山道をはるばる越えて会場までやって来てしまいました。
人来てるかな?と思って見ると、会場には既に人が集まっていて、
最終的には超満員と言えるほどのお客様で溢れていました。
公演で使われる会場は、ちょっとしたステージがある所ですが
後ろがガラスの障子張りになっていて、中の人の様子が見えたり、
椅子の配置を真ん中だけ空けて花道代わりにしていたり、観劇用にかなり細工してありました。
待ち時間に入場時に受け取ったプログラムを見ていますと、岡本さんはじめ竜劇隊のメンバーの経歴・抱負が載っていて
岡本さんの抱負は「ただただ皆さまがよろこんで下さる事を祈っております」となっておりました。

公演は朝の9時半という比較的早い開始で、前座で大井沢地区の神楽の奉納が行われ、
会場が盛り上がった所で、いよいよ竜劇隊の公演がスタート。
第1部のお芝居は岡本さんが質屋「七福」の娘お福を演じるおなじみの演目『質屋の娘』
神楽終了後、幕が無い事から舞台で使うセットをお客様が見守る中用意しながら、
隊長の木内さんが芝居のシチュエーションを説明しつつ、
全てが出揃った所で、芝居が始まると言う変わった趣向からスタートします。

お福の初登場シーンは、花道に当たる場所を通って
頭にかんざしをいつも以上に大量に付けた、見るからに変そうなお福が通って行くシーンでした。
このシーンを見て、「あの岡本さんが目の前を通って行く…」と胸が高鳴るのを実感するのは、前と同じですが
内容と別に感じたのが、湯野浜での座敷席で芝居を見る時と、椅子席で芝居を見る時の違いでした。
前に湯野浜で生で見た時は座敷席でだったので、このシーンも岡本さんを仰ぎ見る感じだったのですが
今回は椅子席で、ちょうど目の前を岡本さんが通り過ぎていくと言う感じで、随分違う物だなと感じました。
おまけに、お客様との距離が近い事もあって、お福の登場時に握手をしまくって行く岡本さん(私もしてもらいました)の
相変わらずのサービス精神の旺盛さも、再確認出来ましたからね。

あらすじは”外見は大人だが、心は子供のまま自由奔放”(要はちょっと頭の足りない)お福が
年下の店の手代新二郎に恋をし、父親に結婚したいと懇願します。
お福の父が強引に新二郎にお福との結婚を迫り、新二郎も結婚を承諾しますが
新二郎は、店の女中・おさよと恋仲にありました。
ずっとお福の世話をして来たおさよは、二人の結婚話を知ると書置きを残し店を出て行きます。
そのことを知った新二郎は、お福に自分の本心を打ち明け、お福とは結婚出来ないと宣告します。
新二郎の気持ちを知ったお福は、二人の将来を思い、新二郎との結婚を諦める…と言う内容で
おさよの身内が訪れる件が、弟から父親に変更になった部分や、
江戸の質屋の娘のお福が「湯殿山」まで願掛けに行くと言った感じで、地元ネタや役者さんの都合でちょっと変わった部分もありますが
概略は変わっていません。

お福の行動・台詞回しや新二郎とお福の父のやり取り等、全体的にコミカルに進んで行く芝居でしたが
終盤、お福の惚れていた新二郎がおさよを追って去って行くと
雰囲気が一変し、お福が「自分の馬鹿を治したい」と悲痛に訴えかけるシーンもあります。
周囲からは(お福が笑わせるキャラだからか)笑いも起きてましたが、
結構岡本さんの言い回しからは。笑わせようとしながらも悲痛さも感じられまして 岡本さんがお福の複雑な胸の内を理解し、そうした胸中を上手く表現しているように感じられたからか、
私は面白いのと同時に、どう表現したら良いか分かりませんが、とにかく心を打たれました。
そんなしんみりしたシーンもありましたが、
ラストは泣いていたお福がまた笑い、軽快な踊りを披露しながら幕が下り…と言う感じの
「笑って泣いて、でもやはり笑い」と言う感じの悲喜劇でした。
ちなみに、ラストも幕が下りないので、岡本さんが踊る傍らで、
お父っつぁん役の木内さんが「おわり」と言う垂れ幕を出して終了を告げると言う趣向でした。

何度も言っている事ですが、この『質屋の娘』を予備知識無しで見た場合、
お福と『ヤッターマン』のアイちゃん、『花の子ルンルン』のルンルンを同じ人がやってる
と言うのは、まず結びつかないと思います。
さらに、実際のお福の行動・言動が
頭にかんざしを大量に刺しているのもそうですが、履いていた草履を放って天気予報を始めたり、
”おしっこ”をせがんだり、「どっちかな?どっちかな?」とコミカルに迫ったりします。
実際のお福の台詞とか仕草は
色々なドラマ・アニメ等で見せてきた岡本さんの演技その物なのですが
結構頭が足りない為か、やる事なす事笑いを誘うキャラなので、
実物を見れば絶対にアイちゃん等岡本さんのキャラのイメージとのギャップに驚く事でしょう。

公演終了後、主催者(大井沢の関係者)からの挨拶があり、今回の公演を開催する経緯が語られました。
それによると、この大井沢在住の横山さんと言う方が、岡本さんが大変お世話になっている声優(で俳優)の矢田稔さんと同級生で
矢田さんから大井沢に知り合いがいると伺っていた岡本さんが、この公演の前年(ちょうど湯野浜で公演を行っていた頃)に大井沢を訪れ、
岡本さんが訪れた事がきっかけで何か公演を行おうかと言う機運が盛り上がり、公演が実現したとの事です。
(ちなみに、矢田さんも最後の方で会場にお越しになっておりました)

なお、公演終了後の詳しい模様は、大井沢公演レポート番外編をご覧下さい。

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