「竜劇隊公演」
2018年9月8日昼の部 三条市・三条東映

新潟三条の三条東映で、今年は9月1日から11日まで
岡本さんが出演される竜劇隊公演(正式には沢竜二プロデュース公演)が行われました。
今回、私は8日の昼の部を見に行ったので、そのレポートになります。

この日、三条東映では午後1時から別のイベントがあった為
公演開始時間は、いつもの午後1時からではなく午後2時半から
開演前に、三条東映に入って来る岡本さんにお会いした事もあって
高揚した状態で開演を待ちますが、実は当日まで芝居の演目が分からない状態で来ていまして
第1部の芝居の演目が「火消しの長太」と分かったのは公演開始のアナウンスを聞いた時でした。

岡本さんの役所は火消し”を組”の頭・新吉(主人公の長太は”を組”の火消し)の女房お静で
以前に見た事がある演目で、簡単なあらすじは覚えていたものの
流石に細かい所までは覚えていませんでしたので、結構新鮮な気分で見る事が出来ました。
あらすじは以下の通りです。

火消し”を組”の頭・新吉は
岡本さん演じる女房お静の父金兵衛(木内竜喜さん)から金の無心を受け、これを断ります。
これに激昂した金兵衛は新吉に強引にお静への離縁状を書かせ
お静は金兵衛によって連れて行かれてしまいます。
ところが、金兵衛の家が火事になり…

このような感じで、新吉とお静が理不尽に引き離されてしまうと言う問題を軸として
を組の若い火消し長太(青山郁彦さん)が
ある時は威勢良く、またある時は会場狭しと動き回って狂言回しとなり
しんみりさせる所もありますが、笑いがたっぷり入った芝居でした。

岡本さんの演じた新吉の女房お静は、話の軸になっていますから
出番は多いものの、最初にお静が舞台に登場すると、すぐに出かけてしまうのですが
気立ての良い火消しの女房と言うより、大店のおかみさんのような感じで
岡本さんの立ち居振る舞いも落ち着いていましたし
優しげな台詞回しで幸せそうな雰囲気を醸し出していて、見惚れてしまう位でした。
ところが次の登場場面になりますと、亭主の新吉が父の金兵衛に難癖を付けられた上
強引に離縁状を書かされ、お静は新吉と強引に引き離されてしまう事になり
お静も先ほどの登場シーンとは異なる悲しげな表情、台詞回しを見せ
こちらとしては、見ていて辛くなる所でした。
ただ、ここで岡本さんの感情表現が豊かな演技を見せて下さる事もあって、容易に感情移入が出来ました。

この芝居での岡本さんの一番の見せ場だったと(私が)思うのが
お静の家が火事では!?と思ったを組の人達が、頭の新吉をはじめ、全員で火事場へ向かってしまった為
お静がもぬけのからになってしまった、を組に帰って来た場面でした。
舞台上には、岡本さんしかいない状態で
動揺しながらも、必死に新吉の後を追おうと、気丈ながらもテンション高めに振舞うお静を
岡本さんが熱演していまして、特に格好良く口上を決めるシーンは
岡本さんは格好良い台詞回しをすると
やはり、いつもにも増して魅力的に感じられるかなと個人的には思いますので
特に良いシーンだったと思います。

ラストは、お静の説得もあって金兵衛が心変わりし、お静との仲を許される一方
目が悪い(夜になると鳥目になる)新吉は長太を夜は自分の代わりと指名して終わりとなりますが
長太、新吉が纏を振るのを頼もしそうに眺める岡本さんの柔らかい表情が印象に残りました。
お静のキャラクターは耐える女房タイプの気丈な女性で
岡本さんらしいキャラクターですし、個人的に非常に好感を持てるタイプなので
周りに振り回されても、安心して見ていられるキャラでした。

新吉が火事場に赤子を背負って突っ込んで行くのは、ちょっとどうなのか?と感じた所でしたが
これを言うのは野暮でしょうかね?

芝居終了後、木内竜喜さんの口上、休憩を挟んで第2部「夢の花道」ショーの開始となります。
オープニングから見続けますが、岡本さんは中々登場せず
岡本さんが登場されたのは、大分時間が経ってからとなりました。

ただ、今回は何の舞踊かな?と舞踊で登場すると思っていたので、歌謡ショーだったのにはちょっと驚きましたし

その上、岡本さんが歌うのが「大ちゃん数え歌」で

おまけに、岡本さんが風大左ェ門風の衣装で登場するので、興奮しない筈もありません。

もちろん岡本さんが「お久しぶりね」や「愛燦燦」みたいな聞き応えのある歌謡曲を歌われるのも好きですが
あの澄んだお声で、ノリの良い歌を歌われると、聞いていて非常に楽しく気分が良くなりますし
間奏でのキクちゃんの台詞も決まっていましたし、本当良かったです。

次の岡本さんの登場は、ラストショーで
今回のラストショーは、「三百六十五歩のマーチ」に合わせ
出演者全員が手ぬぐいを使った踊りを披露すると言う変わった趣向(見たのは初めてです)で
岡本さんも先ほどの風大左ェ門風の衣装のまま歌を口ずさみつつ、楽しそうに踊っておりました。

三条公演の細かいポイント
1.客席の右脇に「岡本茉利」の写真付き垂れ幕(?)
舞台が終わって帰ろうかと思ってふと客席の脇に目を向けると

岡本さんの時代劇の娘風の着物姿の写真に

”岡本茉利”と大書された垂れ幕(?)が飾られていました。

気付くのが遅すぎるんじゃないかと思われそうですが
客席が満員ですし、舞台に目が行くと中々脇に目をやる機会が無いので
気付くのが遅れたんだと思われます。
記憶に自信がないので確実ではありませんが、去年三条で見た時はまでは無かったので
まさかこのような大がかりな物が製作されていたとは知りませんでした。
以前見た岡本さんの女芸人(玉川つばめ風?)風と言うか滝の白糸のような格好のお写真も良かったですが
今回の垂れ幕はそれにも勝るとも劣らぬ良い写真だったと思います。

2.「永遠のマドンナ 岡本茉利」
劇場にある公演のチラシに岡本さんが載っていましたが
そのお写真の脇に岡本さんの紹介文句として

「永遠のマドンナ」

と書いてありました。
岡本さんがどう言う方かを、端的に表現していて、非常に相応しい称号だと思います。
この文句を考え付いた人には正直兜を脱ぎます。

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