「竜劇隊公演」
2011年2月20日 ホテル海山

この日の第1部のお芝居は『日本一の臆病者』と言う演目
岡本さんが演じたのは、やくざ下田一家の初代親分の未亡人お仙
簡単に粗筋をまとめますと、お仙には二代目になりうる仙太郎と仙吉と言う二人の息子がいたが
女絡みのいざこざで仙太郎は家を飛び出してしまい、弟の仙吉が下田一家を継ぐ事になってしまう。
ところがこの仙吉、兄の仙太郎と違い、幼い頃から女の子と遊んだりして育った為、
甘い物が好きだったり、やくざらしさが毛ほども感じられぬ臆病者に育っており
この事に付け込んだ敵対するやくざの伊東の権九郎一家は
下田一家の縄張りを奪おうとした挙句、臆病者の仙吉に喧嘩状を突き付けるのだが…と言う内容になります。
ラストは、不意打ちで仙吉を殺そうとする伊東一家を、家出した仙太郎とおたか(下田一家の下働きで仙吉と好い仲)が撃退し
下田一家は仙太郎が継ぐ事になると言うハッピーエンドで終わります。
では仙吉はどうなるのかと言うと、清水の次郎長親分の元へおたか共々修業に出される事になります。
仙吉は臆病なのは確かなのですが、その実やくざと言う稼業自体が嫌いと言う筋の通った所がありますので
この後、どうなるのか気になる所はありました。

今回は仙吉が主人公ではありますが、岡本さんのお仙の出番・台詞量が結構あります。
お仙は気丈な女親分で、臆病者の息子の仙吉に悩まされながらも、何とか一人前にしようと努力し
仙吉に見せる母心は、母親なのに健気な魅力が感じられたり
かと思えば、伊東一家にいびられるシーンで耐える場面も多く
台詞回しも落ち着いた感じながらも芯の強さを感じさせると言うかなり真面目な役所でした。
これは仙吉のコミカルな感じと対比させる為なのかもしれません。
また、部分部分の台詞の言い回しからはアイちゃんやルンルンっぽさが見られるのも、隠れた見所かと思います。

個人的にお仙で非常に印象に残ったシーンは、まず一つが伊東一家がお仙の下田一家に殴り込んでくるシーン。
お仙が強大な伊東一家の親分とやり合うシーンがあって、気丈に啖呵を切ったりして、対抗するお仙の姿が印象的でした。
ただ、意地を通し過ぎて、
額を割られる(注・実際に割られた訳ではなく、顔に傷を付けた形になります)場面もありました。

もう一つは、伊東一家に喧嘩を売られた仙吉を喧嘩の場所に行かせようとお仙が説得するが、仙吉に拒まれるシーン
最後にはお仙と子分の政と仙吉による追いかけっこに至りますが、この追いかけっこに
突然花道での踊りを交えたり(もちろん岡本さんも踊ります)
一旦、花道を通ってもう終わったのかな?と思ったら
再び花道から戻ってきて、舞台上で追いかけっこを続けたり、かなり面白かったです。

第1部の後、恒例の木内さんの挨拶等を挟んで、2部のショーとなります。
ショーの最初は、岡本さんと木内さん達4人の舞踊「木遣りくずし」
この演目は、最初からしばらくは岡本さんが一人で踊っている所に他の方が合流すると言う流れになっていて
最初に黒の芸者っぽい格好の岡本さんが登場し、手ぬぐいや扇子を使って優雅に舞う姿が特に印象的でした。

その後舞踊や歌が続き、岡本さんの歌謡ショーが始まりました。
紫っぽい、光沢のある着物姿で草履ばきの岡本さんで登場の岡本さんの今回の歌は
美空ひばりさんの「愛燦燦」で、以前見た岡本さんの歌謡ショーに比べると、じっくり聴かせる歌と言う感じでした。
イントロや間奏部分ではちょっとした岡本さんのトークもあり、先ほどまでの苦労を背負った母親役から一転して
優しげな声で挨拶される岡本さんのお姿からは、何とも言えぬ上品さが感じられました。
歌自体も、岡本さんの優しげな歌い方が歌詞に説得力を持たせていて
特に「人生って〜嬉しいものですね〜♪」と言う部分が、
岡本さんの表情も歌い方も特に情感が籠っていて良かったなと感じました。

その後、舞踊が続いた後、岡本さんの個人舞踊「ひばりの佐渡情話」へと移ります。
この演目は佐渡の田舎娘に扮した岡本さんの舞踊で、黄緑の着物の岡本さんの踊りと相成ります。
今回もこの「ひばりの佐渡情話」がラスト前の演目なので、ラストの「北関東は風の街」には岡本さんは出演されず
最後の舞台上での出演者全員の挨拶や送り出しの際も、岡本さんは佐渡情話の格好のままでした。
なお、2月22・24・28日も同じ内容で公演が行われたようです。

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