「沢竜二特別公演」
2010年2月14日 ホテル海山

公演は、2009年に同地で行われた公演同様に昼1時からの一回のみ
今回は初日な上に、沢竜二さんが参加される事もあってか、会場に集まったお客さんは前回見た時より多かったように感じました。
この日の第1部のお芝居は有名な国定忠治のお芝居に独特のアレンジを加えた『極附 国定忠治』
庶民を苦しめる圧政を行っていた代官を叩き斬ったやくざの親分国定忠治(沢竜二さん)は、代官殺しの罪で追われる身となる。
追われる身ゆえ、子分とも別れ一人道中を行く忠治は道中で田畑を取られ、娘お花を遊女としてやくざの山形屋に身売りさせたのに、
その身売りで手に入れた金を山形屋に奪われ、途方に暮れていたお花の母親お市を助ける。
お市から事情を聴いた忠治は(半ば強引に)お花を助け出し、
これを恨みに思った山形屋が忠治を襲い、ラストの大立ち回りになだれ込むと言うのが、簡単にまとめた舞台の内容になります。

全体的な感想としては、忠治と山形屋のやり取りを中心にコミカルな要素が印象に残りましたが
国定忠治と言うと、もっとシビアな内容になるのかな?と思っていただけにこれは意外でした。
ただ、ラスト迫力ある大立ち回りがあり、立ち回り終了後、すぐに幕が降りると言う事もあり
メリハリのはっきりした芝居になっていたと思います。

岡本さんが演じたのは、遊女に売られたお花…ではなくその母親のお市でした。
見た目はかなり老けた感じで、声の感じも老け声っぽく最初に見た時は、
以前見た『質屋の娘』のお福同様、「あれ?これが岡本さん?」って感じで多少の驚きと違和感を感じました。
ただ声を聴いている内に、意外とお市の台詞回しからも
色々な岡本さんの演じられたキャラっぽさが段々感じられるようになってくるので、
役柄に対するちょっとした違和感は全く気にならなくなってきました。

岡本さんの登場は、忠治と子分達の赤城山での別れの後、娘のお花を女郎に売りに来るシーンが最初でした。
その後身売りで得た金をやくざに奪われ、自殺しようとした所を、忠治に助けられ、娘と再会するシーンでも出番がありました。
一番の見せ場は、娘を売った後、
悲しい筈なのに「別れの一本杉」と「お吉物語」を歌いながら去って行こうとする場面
岡本さんの微妙に音程を外しているように聞こえる歌い方がコミカルで座がかなり盛り上がっておりました。
あと、前に見た時も感じたのですが、岡本さんが、舞台上の小道具とかに
細やかに気を配っているのも、非常に印象に残りました。
全体的に振り返ると、お市は意外と話の中で意外と重要なキャラだったように思います。

第1部の後、沢竜二さんの挨拶、休憩が入った後
第2部「沢竜二 夢の花道」と銘打った歌や舞踊のコーナーがスタート
最初は岡本さんと竜劇隊のメンバーによる『木遣りくずし』からで
この演目は前半、岡本さんお一人で手ぬぐいを使った舞踊をする演目なのですが、堂々とした動きで風格すら感じられました。

そして何人かの舞踊が続き、岡本さんの歌謡ショーの時間と相成ったのですが
聞き覚えのあるイントロが流れ、「あれ?この曲は?」と私が思っていたら
なんと『大ちゃん数え唄』(いなかっぺ大将の主題歌)ではありませんか!
登場してきた岡本さんも、袴に白い着物と言う大ちゃんを意識した衣装
ノリノリで楽しそうに大ちゃん数え唄を歌っておられました。
これは、これまで私の知る限りでは初めてかと思いますので
大変驚くと同時に、非常に感激いたしました。

また、イントロの合間にキクちゃんの台詞の実演もありました。
(台詞は「大ちゃん〜ニャンコ先生がね、キャット空中三回転やってるわよ」
ただ、出演者の多さもあってか、歌は「大ちゃん数え唄」のみで
以前見た際にあった、アイちゃんとかを実演するトークのコーナーはありませんでした。

その後しばらく舞踊が続いた後、岡本さんの舞踊となります。
演目は「星になった人」でテカテカした非常に煌びやかな織姫の衣装に身を包んだ岡本さんが、
扇を使ったり、何回転もすると言う見事な舞踊を披露しておりました。

「星になった人」の後、再び舞踊が続き、舞台に岡本さんが最後に登場したのが
ラストショー「花と竜」でした。

また、今回も舞台終了後恒例の“送り出し”で出て行くお客様のお一人お一人に対し、
岡本さんは握手をし続けられていました。

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