「沢竜二特別公演」
2013年2月17日 湯野浜温泉・ホテル海山

「沢竜二特別公演」と銘打って行われたこの日の公演の第1部のお芝居は「恋のかみなり」と言う演目。
長いお芝居のあらすじを(出来る限り)簡単にまとめると
大店江戸屋の入り婿・五郎兵衛(沢さん)は度胸も商才もある立派な男で
女房小春(岡本さん)との夫婦仲も上々なのですが、
唯一、人並み外れて耳が遠い(所謂つんぼ)と言う欠点があったのです。

そんな五郎兵衛の元に、茶器を譲りたいと相模屋と言う男が現れますが
実はこの男、元は水戸藩の侍で、藩主の御前で同僚の早乙女新十郎に恥をかかされた事を恨み
新十郎が藩主から与えられた茶器を奪った上、新十郎の目を見えなくし、
(劇中描写はありませんが)先代の相模屋主人を殺し、二代目にまんまと収まったと言うとんだ悪党。
その上、今度は五郎兵衛が耳が不自由なのに付け込んで、茶器で大金を儲けようとしていた…
と言うのが大体のあらすじになります。
(ちなみに、小春の姉・小冬は新十郎と駆け落ちして夫婦になっています)

見る前は、正直言うと、馴染みのない演目で
どう言う登場人物が出て来るか?岡本さんはどう言う役所なのか?全く分からないまま本番を迎えたのですが
見てみると、耳が不自由な五郎兵衛の設定が非常に効果的に生かされていて
とにかく笑えて笑えて楽しい演目でした。
木内さんの番頭が五郎兵衛に話しかける度に受け答えがあべこべになる件は本当に可笑しかったですからね。

岡本さんの小春も素晴らしかったです。
まず耳の不自由な五郎兵衛の伝達役として台詞が多い点が良い点で
特に五郎兵衛に言葉を伝える為「あんた、○○…」と耳打ちするシーンが印象的でした。
それに加え今回の岡本さん(の小春)は五郎兵衛を補佐する立場の為、とてもしっかりした感じの女性に描かれている上に
「ウフフ」とアイちゃんみたいな言い回しを見せたりするし
五郎兵衛にのろけようと、「手をつないで」とせがんで五郎兵衛にボケられるコミカルな面も見せたり
何だか分かりませんが、私の大好きなアイちゃんっぽい部分が感じられたので
こう言う事が今回の岡本さんのキャラに私が強く好印象を抱いた理由になのかもしれません。
おまけに小春が主人の五郎兵衛にとにかく惚れている女性(以前に見た「雨に咲く花」のお新と長次と双璧位)なのも好印象で
岡本さんのキャラの良さに芝居の筋立ての良さもあって、久しぶりに良い芝居を見れたな…と感じられる演目でした。
ラストは二組の夫婦の明るい笑い溢れる中、気持ち良い位のハッピーエンドで締められます。
ただ、雷のショックで耳の不自由な五郎兵衛は耳が、目の不自由な新十郎は目が治るってのは予想外の展開でしたが、
こう言う筋立てだからタイトルが「恋のかみなり」になっているのか…と一人納得していました。

第1部の後、沢さんの挨拶と休憩を挟んで、2部のショー「夢の花道」となります。
オープニングは(「幡随院長兵衛」参照)いつもより時間が長めで、沢さんの「夢の花道」をバックに沢さんの舞踊が披露される終盤に
岡本さんは裃を付け沢さんのバックで舞踊を(少し)披露しておりました。

そして何人かの舞踊が続き、そろそろ岡本さんの出番かな?と思った頃に
今回はおなじみの「ひとり旅」と言う事で
大銀杏・浴衣姿の岡本さんが登場し
岡本さんは蛇の目傘と団扇(何故かホログラムで派手派手しかったです)を使って舞踊を披露されました。
この舞踊、岡本さんの他の舞踊に比べると少々時間が長い舞踊だと思うのですが
今回も「ハッ!」と気合の入った所を見せたり、コミカルっぽい動きが入ったり
メリハリを付けて見事に舞踊を披露されていました。

その後しばらく舞踊が続いた後、次の岡本さんの出番はラスト前
ここでは舞踊「つくしんぼ」を披露したのですが、
先ほどとは雰囲気が変わり、薄緑っぽい女性物の着物で上品そうに舞いを披露されていました。
(こちらの方も何故か持ってる扇子が金っぽい色だったように見えました)

(注・レポート中に一部不穏当な表現がありますが、お芝居での表現をそのまま使用しております)

公演レポートへ戻る