「竜劇隊公演」
2010年3月7日他 ホテル海山

第1部のお芝居は『待っていた男』と言う演目
やくざ・仏の長兵衛一家の下っ端の子分三太郎は、
敵対するやくざ川向かいの吉五郎一家へ殴り込みをかけた際、偶然親分吉五郎の首を取ってしまう。
親分の首を取った事から三太郎は江戸にいられなくなり、女房お杉と息子の三吉を兄貴分の重吉に託し、長い旅に出る事になった。
それから5年後、仏一家は長兵衛に代わり重吉が親分となり、親分だった長兵衛を下働き同然に虐げるわ
お杉は自分の物にする、三吉を死なすわ、やりたい放題振舞っていた上
三太郎の女房だったお杉も、いつの間にか重吉の女になっていた。
そんな所に三太郎が帰ってきて…と言うのが、簡単にまとめた舞台の内容になります。
最初の方はコミカルな三太郎のシーンで笑いが起きる場面が結構ありましたが
中盤、重吉とお杉が長兵衛を虐げるシーンが結構長く、私含めて舞台に見入る方が多かったようです。
その分、三太郎が5年ぶりに帰ってきて以降の展開の痛快度が引き立つと言う、痛快時代劇的要素の強い演目だと思います。
演題の「待っていた男」は実は”三太郎を待っていた”長兵衛の事だったのでしょう。

岡本さんが演じたのは、時雨のお弘と言う渡世人
渡世人と言っても、男の渡世人みたいな格好をしているわけではなく
長脇差は持っているものの、やくざっぽい格好の女性と言う感じの女性で
渡世人っぽい「ヘイ!」、「ござんす」、「おくんなせえ」と言った言い回しを常用しておりました。
岡本さんは舞台で色々な役を演じられていますが、渡世人役と言うのは私が見た限りではあまり例が無い役所だと思います。

お弘はまず最初、長兵衛一家が吉五郎一家と喧嘩しようとする際、
一宿一飯の恩義から真っ先に(一人で)殴り込みをかけようとするシーンで登場します。
ここで威勢の良い口上を披露するのが、非常に良かったです。
殴りこんで戻ってきた後は、しばらく出番はないのですが、
終盤、ずっと長兵衛一家に草鞋を脱いでいたと思われるお弘が再び登場します。
お弘は、草鞋を脱ぎ長兵衛の面倒を見ていた為、義憤に駆られ長兵衛を虐げる重吉達を斬ろうと
再び鉄砲玉のように飛び出そうとしますが、三太郎を信じる長兵衛に止められてしまいます。
結局、お弘は(劇中において)腕の見せ場はありませんでしたが
義理に厚く男気溢れる渡世人と言う面が感じられる人物だったと思います。
岡本さんがこうした役を演じるのは珍しいですが、台詞回しもかなりハマっていて、個人的にはかなり気に入りました。

休憩等を挟んでスタートした第2部「夢の花道」コーナーは
オープニングは岡本さんと竜劇隊のメンバーによる『白虎隊』から

この演目、岡本さんや竜劇隊の方が白虎隊士に扮し、舞踊・ショーを交えて、
隊士が鶴ヶ城落城を知り、非業の最期を遂げる姿を描くと言う物

岡本さんは白虎隊の中心人物の侍を担当しており、
お芝居の時の渡世人以上に貴重な
”侍姿の岡本さん”が見られました。
演目の中でも、岡本さんの見せ場は多く、官軍を相手にしていると言う設定で、官軍と戦うシチュエーションでは
アイちゃんを彷彿とさせる「エイッ!」と言う掛け声が聞けたのは、非常に良かったです。
ラスト、鶴ヶ城の落城を知り、他の隊士が軒並み非業の最期を遂げたのを見届けた岡本さんが
懐紙を刀に当て、切腹して果てると言う場面でオープニングは終了しますが
最後を遂げる時の、岡本さんの美しくも悲痛な雰囲気
も良かったです。

その後演目が進む、恒例の岡本さんの歌謡ショーの時間となります。
今回は紫と緑色の花柄の着物の岡本さんさんが「花笠道中」を歌うと言う物で
曲の合間に「ありがとうございます!」と挨拶されたり、
岡本さん、最初は舞台上から歌を披露されていたのですが、
2・3番になると客席近くに降り立ち、握手して回りながら歌を披露しておりました。

その後しばらく舞踊が続いた後、岡本さんの舞踊となります。
歌のラストに「男の人の格好の踊りを披露します」と岡本さんが予告した通り
今回の演目は「ひとり旅」で、
男性髷を結って、蛇の目傘と団扇を使って優雅な踊りを披露しておりました。
なお、岡本さんの「ひとり旅」が個人舞踊のトリだった為、
ラストショー「ソーラン節」には岡本さんは参加されませんでした。

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