「竜劇隊公演」
2009年3月1日他 湯野浜温泉・ホテル海山
この2009年3月1日に湯野浜温泉・ホテル海山で行われた竜劇隊公演において、
私は岡本さんの出演された生の舞台、そして岡本茉利さんを生で初めて拝見しました。
公演は昼の1時からで、開演時間が近付くにつれ人も徐々に集まり出し、
会場に集まったお客さんは大体100人位でした。
この日の第1部のお芝居は岡本さんが質屋「七福」の娘お福を演じる『質屋の娘』
お福の初登場シーンは、私の目の前にある花道を通って
頭にかんざしを大量に付けた、見るからに変な所がありそうなお福が通って行くと言う物。
実は『質屋の娘』と言う演目、少し前に私はビデオで一度見ておりましたので
お福が現われた途端に「目の前を岡本さんが通って行く!」と胸が高鳴るのを実感しましたが、
予備知識無しで一見した場合
あのお福と『ヤッターマン』のアイちゃん、『花の子ルンルン』のルンルンが同じ人
と言うのは、まず結びつかない事でしょう。
さらに、実際のお福の行動・言動が
頭にかんざしを大量に刺しているのもそうですが、履いていた草履を放って天気予報を始めたり、
”おしっこ”をせがんだり、「どっちかな?どっちかな?」とコミカルに迫ったりします。
実際のお福の台詞とか仕草は
色々なドラマ・アニメ等で見せてきた岡本さんの演技その物なのですが
結構頭が足りない為か、やる事なす事笑いを誘うキャラなので、
実物を見れば絶対にアイちゃん等岡本さんのキャラのイメージとのギャップに驚く事でしょう。
話は「外見は大人だが、心は子供のまま自由奔放」と言うお福が
年下の店の手代新二郎に恋をし、父親に結婚したいと懇願します。
一人娘のお福に甘い父親が、強引に新二郎にお福との結婚を迫り、新二郎も結婚を承諾します。
しかし新二郎は、店の女中・おさよと恋仲にありました。
ずっとお福の身の回りの世話をして来たおさよは、二人の結婚話を知ると書置きを残し店を出て行きます。
そのことを知った新二郎は、お福に自分の本心を打ち明け、お福とは結婚出来ないと宣告します。
新二郎の気持ちを知ったお福は、二人の将来を思い、新二郎との結婚を諦めます。
(ただ、お福は結構しつこく、新二郎に自分と結婚してほしいと迫ってはいましたが)
お福の行動・台詞回しを筆頭に新二郎とお福の父のやり取り等、全体的にコミカルに進んで行く芝居でしたが
終盤、お福の惚れていた新二郎がおさよを追って去って行くと
雰囲気が一変し、お福が「自分の馬鹿を治したい」と悲痛に訴えかけるシーンもあります。
周囲からは(お福が笑わせるキャラだからか)笑いも起きてましたが、
結構岡本さんの言い回しからは。笑わせようとしながらも悲痛さも感じられまして
岡本さんがお福の複雑な胸の内を理解し、そうした胸中を上手く表現しているように感じられたからか、
私は面白いのと同時に、どう表現したら良いか分かりませんが、とにかく心を打たれました。
そんなしんみりしたシーンもありましたが、
ラストは泣いていたお福がまた笑い、軽快な踊りを披露しながら幕が下り…と言う感じの
端的に言うなら「笑って泣いて、でもやはり笑い」と言う感じの悲喜劇でした。
ビデオで見た作品ではありますが、やはり実際に見るとやはり臨場感が違うなと実感しました。
岡本さんが新二郎を舞台狭しと手を引いて連れ回したり、舞台上で跳ね回ったり
岡本さんの細かい顔の演技や、仕草なんかも近い距離なら容易に確認できるだけに
生の舞台ならではの楽しみ方が体験でき、非常に有意義に感じました。
第1部の後、竜劇隊の木内竜喜座長の挨拶と休憩を挟んで、2部のショーとなります。
ショーの最初は、岡本さんと木内隊長達4人の舞踊「祝い舟」で
岡本さんは黒の和服に身を包み、扇子を両手に達者に舞踊を披露しておりました。
そして何人かの舞踊が続き、「岡本茉利『お久しぶりね』」とのアナウンスが入り
ピンクの着物を着た岡本さんがマイクを手に登場!
何と「お久しぶりね」を“歌う“と言う事が分かり、期待が高まります。
登場した岡本さんが「お久しぶりね〜♪」とあの優しげなお声で歌い出します。
しかも、身振り手振りつきで表情豊かに歌い出すと、もう気分は最高潮
日頃あまり聞く機会の少ない岡本さんの歌ですが、かなり歌い慣れているようで
特にラストの「もう一度〜もう一度〜めぐりあいたいの〜♪」の部分を
岡本さんが情感を籠めて歌っていたのも印象的で、非常に聞き応えがある歌でした。
さらに途中から、岡本さんが舞台上から客席の方に降りて来て下さって
前列にいたお客さんに握手して回っておりました。
前列に座っていた私も光栄な事ですが、握手していただきました。
そして一曲終了後には、岡本さんのトークもあり
「今日はお福“ちゃん“を演じました…」と言うお客様への挨拶から
自分が声優として活躍されている事にも言及があり
代表作として『いなかっぺ大将』、『花の子ルンルン』、『ヤッターマン』等の名前を挙げ
キクちゃん、ルンルン、アイちゃんの実演まで披露されていました。
「シビレステッキ〜!」と言う台詞が目の前で岡本さんご本人から生で聞けるのですから
私にとって、この辺りが特に今回の公演の中でも夢のように感じる位、良かったと思える場面でした。
トークの後、次に岡本さんが歌う曲は「雪椿」と言う事で、
客席にはあまり歌に詳しい方が少ないようで、反応は薄めでしたが
マイク片手に、どんどん客席方面に向かって進んで行く岡本さんが客席に「歌える方一緒にどうです?」と促していました。
ああした客席との一体感と言うのが、大衆演劇の魅力だと思いますが、
そう言う一体感を作り出そうとする岡本さんの動きは皆様好意的に見ていらしたようです。
その後しばらく舞踊が続いた後、
岡本さんの舞踊「ひとり旅」(男性髷を付け、蛇の目傘と団扇を使い、優雅に舞踊を披露していました)
「ひとり旅」終了後のラストの演目が何と「マツケンサンバ」でして
岡本さんは先ほどの「ひとり旅」の格好そのままに、ボンボンを手に登場
「オ〜レ〜、オ〜レ〜、マツケンサンバ〜♪」とノリノリな岡本さんが見られました。
舞台終了後、大衆演劇特有の“送り出し”(会場を訪れたお客様を出演者が入り口で挨拶していく)が行われますが
ここでも、出て行くお客様のお一人お一人に対し、握手をし続ける岡本さん(本当に全員にされてました)
ファンサービスを心得てらっしゃるなと感じたものです。
ちなみに私、最終日の3月15日も公演を拝見しましたが、1日の内容とほとんど違いはありませんでした。
ただ、岡本さん絡みで言うなら、二曲目に歌われた歌が「蘇州夜曲」に変わっていました。
岡本さんの出演される生の舞台は、客層はかなり高齢な方が目立ちますが
アニメ・映画等で今まで培ってきた岡本茉利さんの魅力が凝縮された非常に貴重な場だと思います。
皆様も機会がありましたら、ご覧になってみて下さい。